御代田の魅力は、中心のないヌケ感!? イセオサム×大月均×本間美和×兼松真紀×兼松佳宏「みよた町民座談会」
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御代田の魅力は、中心のないヌケ感!? イセオサム×大月均×本間美和×兼松真紀×兼松佳宏「みよた町民座談会」

長野県御代田町(公式)

この記事は、みよた町民が実際にまちを楽しみながら、まちの魅力について考える新プロジェクト「みよたの町民note」の一環です。

前回の記事では、御代田町企画係の狩野さん&萩原さん、そして、御代田に惹き寄せられたプロデューサーたち、イセオサムさん&大月均さんによる「キックオフミーティング」をお伝えしました。

そのつづきとなる今回の記事では、”本気のまちあそび”仲間として招集された、編集者・ライターの本間美和さん、コンテンツクリエイターの兼松真紀さん、「グリーンズの学校」編集長の兼松佳宏(YOSH)という3人のみよた町民を交えての座談会の様子をお届けします。(各メンバーの詳しいプロフィールは前回の記事からどうぞ!)

テーマは「御代田の魅力を伝える上で大切にしたいこと」。司会は、YOSH(よっしゅ)が務めます。


大月均さんのキーワード
「ウチとソト、そしてそれらの交わり」

口火を切ってくれたのは、本企画のプロデューサーのひとり、大月さん。大月さんは「ウチとソト、そしてその間の"あわい"の視点が面白い」と言います。

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大月さん

大月さん:
御代田の魅力を発信したり、新しい価値をつくるというときには、ウチ側の視点に加えて、それを受け止めるソト側の視点も必要だとも思うんです。自分の中にも町民(=ウチ)と移住者(=ソト)という2つの視点が常にあるんだけど、「いつまでが"移住者"なんだろう?」というのを最近よく考えるんですよね。

YOSH:
あー、いい問いですね。

大月さん:
御代田に来てから2年半くらい経ちますが、だんだん「"元"移住者」という感覚になってきているんです。インタビューに答えるときも、今までは「移住してきました」って言っていたんだけど、こないだ自然に「引っ越してきました」って答えていて。

何となく"移住"という特殊性を帯びてきた時期が終わってきているのかも。

イセさん:
わかります。シンプルに「住む場所が変わったんだな」みたいに、おおごとではなくなってきたというか。たぶん、季節がひとまわりした、というのも大きいのかもしれないけれど。

YOSH:
「冬を越したぞ!」みたいな。

イセさん:
そう。あと、"移住者"という言葉にも、ちょっと疎外感あったりしませんか? もともと住んでいる町民とは別の人というか、特殊な人と見られてしまうというか。だから自分に対しても、他の人に対しても使いにくくなってきたなって、最近感じています。

大月さん:
"移住者"というラベリングはとてもわかりやすい反面、デメリットもあると思うんです。本来、それぞれの人はもっと曖昧さや多面性をはらんでいて、その揺らぎとか振れ幅、悲喜こもごもにこそ、その人らしさがあるというか。

だからウチとソトというふうに対立構造にしてしまうのではなく、ごちゃごちゃに混ぜていきたいんですよね。これまでの経歴とか肩書きとか、そういった枠から一人ひとりが自由になっていくような感覚。

YOSH:
うんうん。そういう曖昧な関係性の中から、まったく新しいアイデアが立ち上がってくる感じ

大月さん:
うん。歴史や知名度のある小諸や軽井沢であったり、人口の多い佐久などが周囲にあり、ドーンとそびえる活火山・浅間山の麓に位置していたり。きっと地理的にも歴史的にも、昔から御代田はいろんなもののあいだにあるのかなって。

僕にとっての御代田の魅力は、違いを区別するのではなく、混ざり合っていく"あわい"の場所であることここで今まさに何かが次々に生まれようとしている。そのことを伝えていくことで、この町の面白さが伝わっていくといいなと思っています。


本間美和さんのキーワード
「みんなMIYOTAラバー」

続いては、美和さんです。「自分も"移住者"という言葉にピンとこない」という美和さんが大切にしたいことは、御代田を愛するひとりひとりの物語にフォーカスすることでした。

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美和さん

美和さん:
移住というと「どこからきたか」という軸になるけれど、私は「ここが好き」という軸を大切にしたい。だから御代田に生まれ育った人も、惹かれて引っ越してきた人も、御代田を気に入ってる人はみんな"MIYOTAラバー"でいいのかなって。

いろんな要素を近隣の街から借りながら生きていく感じも好きだし。役場のみなさんと近くて、何かできそうなワクワクがあるのも好きだし。新旧が混ざっているのも好きだし。変な開発とか進みそうで危なっかしい感じも、なんか憎めないし(笑)

大月さん:
器でかいなあ(笑)

美和さん:
そんな御代田で私がテーマにしたいのが、「みんなで育ち、学ぶ」ということ。もう私自身が学びたい気持ちが強いんですよね。学校選びをきっかけに引っ越してきたんですが、生まれて初めて教育のことを真剣に考えて、そしたら「子どもたちに負けないで、わたしも伸びなきゃ」って思ったのね。

学ぶ、伸びる、みたいなことに価値があるんだとしたら、それって何歳になってもできるんじゃないかってことに興味がある。

YOSH:
すごく響きます。

美和さん:
ここに来る前は神奈川にいたんだけど、森づくりとか畑とかDIYとか、前まではできなかった新領域がここにはたくさんある。そういう消費的ではない、大地に根ざした、暮らしをつくるみたいな部分で、初めての学びが増えていて

森に詳しい人、そば打ちに詳しい人、いろんな人が持っている知恵を学びたいし、自分が持っているものもシェアしたい。そういうことを御代田ならできそうな気がするの

YOSH:
どんなときにそう思うの?

美和さん:
近所の人とか、役場の人と話していると、思考停止している人が少ないというか、自分で考えて、自分で語る人が多い気がするのね。山椒採りに連れて行ってくれたおじさんたちとか、もう、かっこいいんだよねー。

大月さん:
すごく共感。自分もそういうエッセンシャルなスキルを全然持っていなかったので、それを学びたいと思ったのも、移住の目的のひとつでした。

現代の生活って、便利さとか効率とかにものすごく軸足が寄っているけど、実はそれが目に見えにくい犠牲によって成り立っていたり、大切な何かを失っている側面もあるよなって。価値観と行動が一致していない自分の暮らしにずっとモヤモヤを感じていました。でも、こっちに来てからは何だか毎日が心地よくて、だいぶ地に足もついてきた感じがします。

ひとつずつ薪を割るときにも、エネルギーのことと向き合えている。最初の冬は、そのことにじわじわ感動していました。春は山菜、秋にはきのこみたいなこともとても豊かな学びなんだけど、めっちゃ楽しい遊びでもあって。そういった、生きる上での知恵を、御代田で改めて学び直している気がします。

美和さん:
ありがとう。そう、そういうことを言いたかったの(笑)

全員:(笑)


兼松真紀さんのキーワード
「底流にある縄文意識」

「御代田は、エッセンシャルなスキルを遊びながら、学べる場所」。そんな話を受けて、真紀さんは御代田という土地の力を支える"縄文"という文化に光を当ててくれました。

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真紀さん

真紀さん:
"学び=遊び"という話が出たけど、そういう未知の領域に飛び込んでいく感じとか、出会ったことのないカオスのなかで自分も楽しんじゃおうとか、そういう冒険感と縄文のDNAは通じているのかなって思いました。

縄文の頃ってひとりで暮らしていないし、強いリーダーがいたわけでもなく、集団でワラワラ楽しんでいたんですよね。昔の普賢山落だったり、今こうやって盛り上がっている感じも、そういう縄文の空気が影響しているんじゃないかなって。

YOSH:
町のど真ん中に縄文ミュージアムがあるくらいだし。

真紀さん:
うん。車で通っていると、ふと縄文遺跡の跡地だったりするのも、すごいところだなって。

YOSH:
浅間サンラインから朝焼けとか夕焼けの風景を見ていると、何だかタイムスリップしたような感じもする。

真紀さん:
ね。私、よく夢を見る体質なんですけど。その土地のエネルギーから無意識に影響を受けることが多いんです。

そういう感覚でいうと、御代田は開けているというか、すごく陽な感じがする。思わずスキップしたくなるというか。「いいよ、どうぞ」みたいな土地の空気があるからこそ、オープンなコミュニティが生まれていくのかなという仮説をもち始めています。

縄文土器の様相も、無意識の領域とつながっていないと、あんなことにならないんじゃないかな。

YOSH:
たしかに。

美和さん:
私、「御代田にいた縄文人って結構いいやつだったんじゃないか」って思っていて(笑)ここで暮らしてきた、みよた町民という意味でパイセン(先輩)だから、できることなら会いたいし、話を聞きたいと思っていて、そういう意味で興味があるんだ。

あと、土地の力の話だけど、そういうのを感じやすい友人もこの前、真紀ちゃんみたいに「御代田には何かいいものが流れている感じがする」と言っていて。御代田には龍神祭りがあるじゃない?実は空に龍がいっぱい飛んでいるのかなあ、とか。もっと調べてみたいなあ。

イセさん:
そういう縄文的な感覚をいまの町並みと接続できたら面白そうだし、より多くの人が感じやすくなるのかもしれませんね。竪穴式カフェとか縄文のテーマパークとか、キャンプ場だけど縄文の装備しかないとか(笑)

真紀さん:
いいですね。

調べてみたら、ほぼ御代田全域に集落があって、しかも円環状になっているんです。きっとそこには縄文人が大切にしていた感覚が残っていると思うので、御代田というゲートを入り口に、時空を超えて縄文の暮らしや感覚を追体験できる機会があるといいなあって思いました。


イセオサムさんのキーワード
「中心のない、ほどよいヌケ感」

現代から縄文まで一気に話が広がりつつも、「これからの時代に必要なのは、そういうほどよいヌケ感なのかな」とイセさんはつづけます。

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イセさん

イセさん:
円環という話もありましたが、権力が真ん中に集中していない、とかはすごく感じるんですよ

"地方創生"っていうと一部の誰かががんばって、無理やり人を集めたりみたいなイメージがあるけれど、御代田はそれぞれが自立分散的にやっていこうとしている感じが強くて、もともとそういう文化がある町なのかなと。

さらに周りには軽井沢、佐久、小諸と広がっているから、中心にある御代田独自でそこまで盛り上げる必要がない、ということもあるかもしれませんが。

真紀さん:
お互いにシェアしあえばいい、みたいな。

イセさん:
そうそう。その分、変な力が入っていないし、とても運がいい町なんだと思う

大月さん:
運、か。なるほどね(笑)

イセさん:
運がいいと、自然とまわりでいいことが起こっていくじゃないですか。こうして、みなさんとお会いできているのもラッキーだなって思っていて。

例えば、軽井沢に風越学園ができたことで、同世代の親たちがたくさん引っ越してきたけれど、それに関しては、御代田は何もやっていないともいえる(笑)

YOSH:
もちろん住みたくなる場所という魅力が、もともとある前提で。

イセさん:
そうそう。棚ぼたといえるかもしれないけれど、棚ぼたキャッチ力も大事だと思うんですよね。受け取れる人は、単純にその力が強い。満たされているから、他のところから奪おうとかも思わない。

美和さん:
やっぱり龍の力なのかな?

イセさん:
わからないけど、そういうのもあると思うんですよね。なんか、いいんですよ。

YOSH:
なんか(笑)でも、わかる気がします。

美和さん:
観光名所とか特にないんだけど、住んでいる人は幸せ
、という、なんか不思議な町。

真紀さん:
がんばる感じじゃない、というのは、確かにありますね。人がいたとしても「自分が引っ張る!」というふうにいるのではなく、真ん中の空間をつくるためにいる、みたいな。そのあいだの空間にいろいろ入ってきて、「いいよ、どうぞ」ってなっていく。

イセさん:
周辺にいろいろ置いていくのが、たぶん戦略としていい気がしするんですよね。周りの町と一緒に盛り上がることによって、ヌケとしての余白を担保する。そんな御代田のなんともいえない魅力が伝わるといいなと思います。

真紀さん:
余白担当の町って面白いですね(笑)


兼松佳宏さんのキーワード
「inter-beingのためのボイド感」

最後に、思わず「ここまでの話がすべて響き合って、つながってきていて鳥肌が立ちました」と言ってしまったのが、私、YOSHです。

YOSH

YOSH:
僕が出したキーワードも、"僕が"というよりも、みなさんとの話の流れのなかで出させてもらったような気がしています。それは「inter-beingのためのボイド感」というもので。

大月さん:
うーん、難しい(笑)

YOSH:
そうですよね、ひとまず聞いてください(笑)

ボイドって「空洞」って意味ですけど、今までの話にあったとおり、いい意味で、いろんなものが通り過ぎていく通過点のような気がしていて。

ロラン・バルトが、ヨーロッパの都市と東京を比較して、ヨーロッパの一等地には聖堂があるけれど、東京の中心に皇居という、地図で見れば空虚な空間が広がっていることに着目して、「意味から解放された日本独自の自由さを肯定的に説いた」とWikipediaにもあるんですが、そういうボイド的な魅力を御代田に感じるんですよね。

大月さん:
東信における皇居ってこと?

真紀さん:
まさかの(笑)

YOSH:
あと、「まわりにいろいろある」という話は、inter-beingというキーワードとつながるなあと思っていて。

inter-beingは、ティク・ナット・ハン師の言葉ですが、「私たちが、あるいは、何かのものが、ただ自分だけで存在するということはありえないし、私たちは、ほかのすべてのものとともに存在している」という意味です。そういうふうに見ると、小さな"わたし"というものは存在しないし、逆にここには宇宙に存在するものすべてが含まれ、共存している、とも言える。

いろんな人が入ってこれる自由さがあって、そのときそのときに結び目をつくったり、解いたりしながら、いろんなつながりを自然と感じさせてくれる場所。ある意味、抜けやすい場所でもあって、ずっとここにいるのかわからない、という感覚もどこかである。もちろん、いつか何かの導きによって、またやってくることがあるかもしれないけれど。

そういう前提があるからこそ、何を始めるにしても「自分が!」みたいな属人的なものではなく、受け継ぐ人も自然と出てくる、みたいな。

イセさん:
風の時代というけれど、風っぽい人がすーっと集まってきているのかな、とも思いますね。

真紀さん:
まさに縄文は"半定住"だったんです。実りにあわせて移動しながら、豊かさを分け合っていくからこそ、その分「ありがとう」が循環していく。そういうギフトがまわりやすい土壌がある場所なのかもしれませんね。


最後にそれぞれ、今日の感想を伺いました。

大月さん:
この場所に根ざしてやっているわりに軽やかな感じとか、まだ自分の言葉にはなっていないけれど、みんながinter-beingであろうとしているんだなって、改めて気づきました。

自分だけでできることって限られているし、むしろ誰かと一緒にすることの方が面白いってことに気づいている人たちが集まっているから、当たり前のように自律分散的に連携していくというか。今日もいろんな断片が最終的にひとつにつながった気がする。その感覚をみんなでシェアできてよかったです。

美和さん:
私もめっちゃ感動してます。「御代田の魅力ってこういうことかな?」って、ふわっーと5人で話してみたら、本当に全部重なっていたし。きっと御代田のよくわからない魅力を言語化した、初の試みだったんじゃないかな(笑)それはどれも素敵で。

この企画で、自分の物語を紡いでいる人たちにインタビューをしていきたいなって思っているんだけど、"運のよさ"とか"余白"とか、今日出てきたようなキーワードを踏まえて、もっと掘り下げてみたいです。

真紀さん:
本当に面白くて、自分が感じていたことが、「あ、そういうことかも」って立体的になったような気がしました。あと、改めて「そうだ、私は気を抜いて、冒険するためにここにきたんだ!」って思い出すことができました。

ちょうど私も自分ひとりでできることは手放して、誰かと一緒じゃないとできないことに取り組みたいと思っていたところで。ここには頼れる人たちもいっぱいいるし、うつうつ心配せずに、ワラワラと運よく生きていきたいと思いました(笑)

イセさん:
実は、こっちに引っ越してすぐくらいのときは、今と違って「町を変えよう」みたいな思いもあったんです。でもいろいろ見ていくうちに、そういう動きを無理につくろうとしない、真ん中が空いていることこそが魅力なんだなってことに気づいて。

このプロジェクトも流れにまかせて、いろんな人がワラワラと出入りしながら、無理なく楽しくやっていけるといいですね。

YOSH:
今日出てきたキーワードを立ち戻れる場所として、僕たち自身も楽しんで行けるといいですね。今日はありがとうございました!

*

ということで、これから、それぞれの視点をいかした記事がぞくぞくとアップされていく予定です。どうぞ、お楽しみに!

[編集・文] 兼松佳宏


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長野県御代田町(公式)
「ミヨタマチ」は,長野県の東に位置し雄大な浅間山の南麓に広がる人口約1万5千人の町で佐久市,小諸市,軽井沢町に接しています。北陸新幹線や上信越自動車道等に隣接し都市圏とのアクセス環境も良く,利便性と自然環境に恵まれた暮らしやすい「ちょうどよさ」を感じられる高原の町です。